教員は教えながら、けっこう考えてる。

教えるだけじゃない、“考える先生”のつぶやき帳。

学級経営は「うまくやろう」と思わない方がいい

クラスを安定させるために、僕が大事にしていること

現在、3年生の担任をしている。
勤務している学校は少し特殊で、4年以上同じクラス、同じ担任で過ごす。

昨年度までは長期で担当したクラスを卒業まで見届け、今年度からは新たな学年の担任に戻った。
長期担任制にはメリットもあるが、当然ながら苦しい場面もある。

実際、次のような状況があると、なかなかに「きつい」。

① 子ども同士が合わない

どれだけ教育的に関わっても、人間同士だからどうしても合わない相手はいる。
適度な距離感で過ごすしかないこともある。

② 教員と子どもが合わない

こちらも人間である以上、どうしても「教育的に関わるのが難しいタイプ」は存在する。
逆に、子ども側が「この先生、なんか苦手…」と思ってしまうこともある。
一定期間の担任制であれば交代できるが、長期だとそうはいかない。

③ 人間関係のトラブルが“リセットできない”

長い時間を共に過ごすからこそ、ケンカ、仲違い、時にはいじめにつながるような事案も起こる。
しかし「新しいクラスになれば忘れられる」というリセットが効かない。

③+ 保護者同士のトラブルも“リセットできない”

これはさらに厄介だ。
大人なのだからうまくやってほしいと思っても、保護者同士の感情的な行き違いは修復が難しい。
周囲の保護者も巻き込まれる。

④「慣れ」がもたらす緩みと油断

長い付き合いになればなるほど、良くも悪くも“慣れ”が出る。
悪くなると、他人へのリスペクトを欠き、学校という公共性を忘れてしまう。
良くなれば、深い信頼関係が築かれ、かけがえのない絆になる。


それでも、クラスを「安全」に「安定」させて終わるには、いくつかのコツがあると感じている。

① 親同士が仲良くなっていること

子ども同士で何かあっても、保護者間に信頼関係があれば、ほとんどこじれない。
こじらせるのは、いつも大人。だからこそ、保護者同士の関係づくりは意外と重要。

② トラブル対応の“速さと丁寧さ”

ケンカ、いじめ、怪我。
この3つへの対応が遅れると、クラスの信頼は一気に崩れる。
勉強をうまく教えられることよりも、こうした場面の対応が、実は担任としての信頼につながる。

③ “担任像”に過度な期待を抱かせない

保護者会で、何か立派なことを言おうとしてしまいがちだが、それは逆効果。
「家庭でもこうしてください」と振りかざすより、
「家庭では温かく見守ってあげてください。学校ではこんなことを頑張ります」の姿勢で十分。
先生が“教育者以上の存在”になってしまうと、のちのち苦しくなる。


20年この仕事をしてきて、うまくいったクラス、うまくいかなかったクラス、それぞれあった。
それでも、こういった視点を大切にしてからは、ずいぶん「安定」に近づけるようになってきたと感じている。

クラスは生きものだ。
そして、担任が無理をしすぎると、必ずどこかで歪みが出る。
子どもたちが安心して過ごせる場所であるために、今日もまた、クラスと向き合っている。